前回のブログでも書かせていただきましたが、プロダクトデザイナーは新たな役割を追加で求められていると感じます。
前回は日立、NECの動きを紹介させていただきましたが、日立は数年前に、日経ビジネスに「デザイナーが経営者の意図を汲んで、わかりにくかった経営方針を各社員に伝わりやすくする資料を作成し、全社的な運営を手助けした」というような内容の記事がありました。
日経デザインではなく、経営者が読む日経ビジネスだったところがポイントです。そうした動きを受けて、デザイナーの評価が上がって今回のようにもっとデザイナーを広い意味で活用しよう、ということになったのかもしれません。
なぜデザイナー、特にプロダクトデザイナーがそのように広い領域で求められるのかと言えば、一つにはデザイナーは絵を描き、試作を作ることができる点があります。元々プロダクトデザイナーはこの世に存在しないものを創造しなければならない職業ですので、ゼロから発想するのに長けています。それにより、絵を描いたりという現場的な能力にも長けており、また、もっと上流のコンセプト立てやエンドユーザーの行動観察などの手法にも長けています。
大量生産をして作れば売れた時代が終わり、物欲がなくなったと言われる消費者に向けて何を作っていいかすらわからない時代に、そうしたゼロからスタートできる能力が重要視されるのは必然でしょう。
そうした流れをうけて、次回のかわさきデザインフォーラム(かわさきデザインフェア)では、日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)の理事長であり、GKインダストリアルデザインの代表取締役社長でもある田中一雄様に、「デザイナーに何が求められていて、どうあるべきか」を話していただきます。
デザイナーのみを対象にしたものではありませんが、幅広いご経験からのお話やデザインシンキングで製品開発に当たった実例もお話しいただけるとのことですので、デザイナーにも経営層や製品企画部門の方などにも有意義なセミナーになると思われます。
1月29日(金)の開催ですので、お時間ありましたら、ぜひご来場ください。
■第108回 かわさきデザインフォーラム(第27回かわさきデザインフェア) 開催概要
テーマ:
デザイナーと企業の新たな関係 ?デザイナーの「越権行為」がイノベーションを起こす?
日 時:2016年1月29日(金)
講演会:15:30-17:00 / 交流会:17:30-19:00
※今回は「かわさき産業デザインコンペ」の公開審査と同時開催です。
13:00から公開審査会ですので、こちらもぜひご参加ください。
参加費:無料(交流会参加者のみ一般2000円、学生1000円)
場 所:川崎市産業振興会館 (川崎駅 歩8分)
今、デザイナーの役割は従来の姿形をデザインする仕事から広がり続けている。
先進的な企業では、デザイナーに製品開発の最上流にあたる「顧客との対話による課題発見」の役割を求めており、また、プロジェクトの「イノベーションの促進役」を任せて実績につながっている企業もある。それらはデザイナーがもともと持っている「アイディアを可視化する能力」や「全体を見渡す俯瞰力」を効果的に活用している例だ。 今回のデザインフォーラムでは日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)の理事長であり、GKインダストリアルデザインの代表取締役社長でもある田中一雄氏を講師に迎え、企業がデザイナーをどう活用していくべきか、デザイナーが企業に求められているもの、などを多様な視点から語っていただく。
また、今後デザインを活用したいと考えている企業に向けて、デザイナー的な発想・プロセスである「デザインシンキング」を活用した事例の説明をしていただく。
●申込方法 下記について明記の上、E‐mail又はFAXでお申し込みください
1. 氏名(ふりがな)
2. 会社名/学校名
3. TEL / FAX
4. E-Mailアドレス
5. 交流会(出席/欠席)
<申込先>
川崎市経済労働局 次世代産業推進室
FAX:044-200-3920 E-mail:28sangyo1@city.kawasaki.jp
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なお、今回のフォーラムは「かわさき産業デザインコンペ」の最終プレゼン/公開審査会の後に開催されます。
最終プレゼンは、第一次審査を突破した10組が試作モデルを作成、プレゼンテーションします。一度でも来た方はお分かりになるかと思いますが、審査員からの質問や候補者のプレゼンテーションを見ているだけで、コンペのヒントが多数得られるかと思います。
デザインコンペ入賞を狙っている方は、ぜひご来場ください。
皆様のご参加をお待ちしております。