そうした例を多数見てきた中で、良い人材を獲得するヒントをお伝えしていこうと考えております。今回は以前にあった事例を元にご説明したいと思います。
- 優秀なデザイナーは「複数の企業から内定を取る」が、転職には慣れていない
- ほとんど追加コストも無く、B社は優秀なデザイナーを獲得し、A社は逃した
- 内定を出した瞬間から、企業は選ばれる側
- デザイナーも「自分を必要としている会社」には好感を持つ
- 内定後のフォローで状況をつかむ そのひと手間で全てが変わることも
優秀なデザイナーは「複数の企業から内定を取る」が、転職には慣れていない
現在は、デザイナーを求める企業が多く、転職したいというデザイナーが少ないので優秀なデザイナーが確保できないという状況が続いています。ただ通常時でも、優秀なデザイナーは何社も内定を取れることは多いです。企業側が「選ぶのは企業側だ」などと考えているとせっかくの優秀デザイナーを逃してしまいます。
<事例>
A社はある優秀なデザイナーに内定を出した。しかし彼はB社からも内定をもらっていた。どちらもそれぞれいいところもあり、気になる点もある。悩んでいると、B社から連絡があった。「もし不安なことがあるなら、一度現場のメンバーと話してみますか?職場も案内しますよ」。実際に会って話をしたところ、メンバーの方々が話しやすく良い雰囲気だったので、B社に決めた。
タイトルの「転職には慣れていない」のはこうした点です。転職者はA社とB社を公平になど判断してくれません。上記のように会って話す場合、採用試験ではない対等な立場であれば、デザイナー同士ということでいい雰囲気を作れます。さらに企業側は「この人に来てほしい」というポジティブな心境で話をするので、本人も気持ち良く接することができます。B社は意図したわけではありませんでしたが、この面談がA社を出し抜く決定打となったのです。
ほとんど追加コストも無く、B社は優秀なデザイナーを獲得し、A社は逃した
内定を出した優秀なデザイナーをA社は逃し、B社は獲得しました。多少細かい点は変えていますが、実際にあった話です。ここで非常に重要な点は、2社が内定を出すほど「優秀なデザイナー」という点です。採用に関わったことがある方なら、優秀なデザイナーを見つけることがいかに難しいかは良く分かっていると思います。毎月何十万円もの求人広告を出して、数ヶ月=100万円近い金額を出してようやく出会えた1人の優秀デザイナーをA社は逃してしまったのです。ここに至る面接や書類選考の時間の損失費用も大きなものがあります。
内定を出した瞬間から、企業は選ばれる側
では両社の違いは何だったか。一つは「内定後のフォロー」です。内定を出した瞬間、立場が逆転します。それまで、転職希望者がアピールして入れてもらう立場だったのが、内定を出した瞬間に「内定者に選んでいただく」側になります。すぐに返事があればいいですが、しばらく考えさせてほしい、と言われたら他にも受けている可能性が高く、かつ自社が単独第一希望ではない、ということです。(他を受けていても第一希望ならすぐに返事をくれます)
他社を受ける権利は当然デザイナー側にありますので、まずは以下のような対応を取ることをお勧めします。
まずは「現場も高く評価しているので、ぜひ来てもらいたいと思っている」旨を伝え、しかし他社を受けることも当然の権利だから、と寛大な態度で伝えます。そして、進捗があったら教えてほしい、また、希望条件があれば伝えてほしい、というように締めます。可能であれば、他社の結果が出る日程や、結論を出す日程を聞いておくと良いです。また、前述のような「内定後面談」を提案するのも良いかと思います。そのように連絡してから、定期的に連絡を取るようにします。
デザイナーも「自分を必要としている会社」には好感を持つ
最初の「高く評価している」ということは意外に忘れがちですが、重要です。それによって、デザイナーも「自分を必要としてくれている」と感じられるからです。会社というのは外からではわからないので、デザイナーは意外に比較できません。弊社に転職相談に来た方でも、「この会社に絶対入りたい」という方はおらず、ほとんどの方が自分の希望に合えば「この会社とこの会社とこの会社を受けてみたい」と複数を希望します。実際に受けながら詳細を知って候補から外れることはあるものの、特に問題がなければ、どこも良い会社だ、という感覚です。
そのような状態ですので、複数から内定をもらったら「自分を高く評価してくれている」会社や「実際のメンバーと話して話が合う会社」の方に行ってしまうのはごく自然なことだと思います。そしてこの2点は、内定後に企業からできる「策」です。過去、新卒で内定を断った方から理由を聞いたところ、「あの会社はA大学の新卒なら誰でもいいみたいだった」とのこと。これも、本人の評価ポイントを伝えてあげるだけで内定辞退を防げたケースです。
内定後のフォローで状況をつかむ そのひと手間で全てが変わることも
先ほどの事例でA社も内定後のフォローをし、「何かご希望や条件はありますか?他に受けている会社の状況はいかがですか?」と質問していれば、「御社でも一度現場の方とお話しする機会をいただけませんか?」とデザイナーから言ってきた可能性は高いと思います。そうなれば、公平に仕事内容や条件面での勝負に持ち込めた可能性があります。
ぜひ、「内定を出した瞬間から選ばれる側」という点を意識して、優秀なデザイナーを獲得してください。
(なお、弊社にお任せいただければ、もちろん上記のB社のようなサポートをすることも可能です!)
(下村航)