1984年4月のこと。
そのイベントカー(宣伝カー)の案は、
ピンクと黒のツートーンカラーの奇抜なモデル。
一つのボタン操作で、バスのボディ両側が開き、幅6メートルに広がる、
アクリルの透明屋根が伸び、ステージに変身する…などの特長を、
私が説明し終えるか終えないうちに、
突然、福田先生は手を大きく開き、拍手された。
「よく面白いものを作った。良く出来ている。ウーン」と
賞賛の言葉を続けるのには驚いた。
周りには、諸先生方も同席されているが、その中での先生の拍手は、
なにものにも勝る、強く、嬉しい、私の「自身」をさらに倍化させてくれた。
「ピンクと黒のツートーンカラーで、全国を走ったらいい。
このモデルの色でいいよ。」
諸先生方も、全員一致。
こうしてイベントカーのきれいなピンクが決定した―――。
先生もきっと、自信作が生まれた時は、大きく手をたたき喜ばれたのだろう。
そして、芸術家としての生きざまに正直でおられる先生の偉大さを教わり、
元気をもらったことを、昨日のことのように思い出した。
「日本のエッシャー」ともいわれた、グラフィックデザイナーの草分け、
福田繁雄氏が、今月11日死去、76歳。
合掌。
(※上記のイベントカーは、現在、石川県の自動車博物館に展示保存)。
(K.K.)
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