森繁久弥さんにセンスを学ぶ(1)

戦後の映画、演劇を牽引、大衆芸能の分野で初の文化勲章を受賞した、
俳優の森繁久弥さんが11月10日、老衰のため亡くなった。96歳。合掌。
銀座にある大手広告代理店・社主のOさんに推挙され、入会した、
とある会の長老が、何と、森繁久弥さんだった。
大正生まれの人達で作った、伝統ある銀座のこの会も、
昭和、平成になり、「そろそろ、昭和生まれを入れないと継続できない」
と、そのような訳で入会を許された会である。
伝統ある会とは、何をする会だろうと思っていた私は、
参加した初日、ただ、おいしいものを頂き、楽しい時間を過ごすという、
すこぶる単純な会だと分かり、大いに気に入った。
それが、2004年の夏のことだった。
ビジネスも何も関係ない会で、年に2、3回、幹事持ち回りで日時を決め、
時間がある人が参加するという、単純明快な「食事会」。
それ以来、時間があるときに参加させてもらった。
3年ほど前の5月、森繁さん93歳の誕生日前日、その会が銀座であった。
当日は、懐石料理の伝統ある店。
偶然、私の横が、森繁さんのお手伝いさん、そして森繁さんの席順であり、
森繁さんの食べっぷりが、すべて覗ける席に興奮を覚え、
原稿用紙3枚は取材したい!と、不謹慎にも盗み目を続けた私は、
森繁さんのセンスに、改めて感動した。
まず、ファッション。
新鮮で若々しい、黄緑のネクタイと紫のジャケットは、すこぶるセンスがいい。
つい、お手伝いさんに「誰が選んだのですか」と聞く。
「先生ですよ。先生が全部決められるのですよ。」と聞くにおよび、
そのセンスに頭が下がった。
さすが、映画、演劇会の重鎮だと、その時、改めて思ったものだ。
(つづく)
(K.K.)
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