本人はそんなことは聞いた事が無く、長寿といえば自然豊かな環境と健康的な日本食のある
日本こそ世界一ではないのかと、香港世界一の呼び声にいささか驚いているようだった。
考えられる理由は香港の街自体が小さく、医療設備が身近にあり、
先進技術が行き届いているからではないかとごく当たり前の分析をしてくれた。
(出典: 日本経済新聞電子版「平均寿命、最高を更新 女性87.32歳 男性81.25歳」)
医療設備や医療保険制度の充実は確かに長寿における大きな要因の一つであろうが、
他にも今でも人々の衣食住の中に深くしみ込んでいる香港の生活文化や伝統が
平均寿命の在り方にも影響しているように思えてならない。
例えば食習慣一つをとっても、食べ物や時間に合わせた中国茶の飲み方や
冷たい飲み物を飲まない習慣、食べ合わせや材料を考えつくした広州の伝統料理や
体調に合わせてお粥や麺類などを毎日の食生活に取り入れている事など、
食育が叫ばれている日本の食卓にとっても学ばされる事が少なくない。
街のあちこちで見られる漢方の不思議なドリンクや民間のスパイスと食材。
ひいては風水に裏付けられた色々な習慣や民間伝承など先進文明の合間に
見え隠れする伝統文化の抱擁がほっと感じられるのは私だけだろうか?
東京であれアジア諸国であれ優れた医療設備や人々体制に加え
人々の日々の生活をマイルドに包み込む民間の文化や習慣があってこそ
はじめて心身両面における長寿の環境が生まれるのではないだろうか。
七福神の福禄寿は道教の神が伝来したものだと言われ、
文字通り“福”“財産”“長寿”の神として中国でも日本でも愛され崇められている。
コロナの世の中で歩みを緩める経済ではあるがその中で改めて
幸福や長寿の価値について考えさせられる今日この頃である。
(小柳尚久筆)
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