赤電話とジャガー

年1回、友人のみどり市の医院で簡易人間ドックを受けている。
その日はたまたま急いでいたこともあり、携帯を忘れたことを
バス停で気が付いた。しかし、時には携帯のない日も「オツ」だと
思い、取りに行かずに出かけた。
従って1日メールも見ることもなく、電話もかかってこない。
車窓からは、田植えの後の水田や新緑がまぶしいぐらい目に
入ってくる。親しい友人を訪ねるときの心の鼓動さえ聞こえてくる。
健康には自信があることも幸いしてか、検査結果は良好。健康なら
その医師の友人と「飲みに行く」約束であるから、友人は素早く
居酒屋に予約してくれていた。健康を肴に最終電車の時間まで飲んだ。
ところが、電車の中で携帯がないので自宅に電話することも出来ず、
駅のホームでも公衆電話が見つからない。昔の感覚での、あの
赤電話はないことに気が付いた。改札口近くでやっとグレーの
公衆電話を見つけ自宅に電話した。
酔っ払っていることも手伝い、足がもたつき電話を探すのは大変だった。
思うに、昔の赤電話が恋しくなった。ITやクラウドの技術の進歩は
ありがたいが、往年の加齢なる人のツールも残しておいて欲しいと思った。
友人の医師のジャガーは1965年製、オイル漏れがするから、
その部品を「世界から」探しているという。47年前の部品である。
さすが、ジャガー。
そのジャガーに負けず、人間の体の部品も「世界から」探して来れる日も
あるのか、酔っ払ってジャガーの夢を見た。
(喜多謙一)
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