欧米のメディアが中国での道の渡り方をパロディー化した映像を流した。
赤信号でも集団で渡る人たちを面白おかしく編集したものである。
欧米での評判がプライドを相当傷つけたのか事もあろうにいくつかの都市で
赤信号で道を渡った市民に10元の罰金を課してしまった。老人であれ
子供であれたまたま警察に見られた市民は罰金を払わなければならない。
さらにはテレビ局にインタビューされ、深く反省しましたみたいな事を
言わされる。
そもそも、事の発端が欧米でのパロディー映像だからメディアの力は
恐ろしい。一握りの不運な通行人に10元の罰金を課したところで果たして
その成果はいかなるものであろうか。
私が見るに悪いのは歩行者ではない。そもそも車両が人に道を譲らない
のだからたとえ青信号で歩いていても決して安全ではないのだ。
取り締まらなければいけないのは歩行者ではなく運転手全般である。
ましてや車両の右折(日本で言う左折)は前方信号にかかわらず
許されている。歩行者が仮に信号のみを信じて渡っていたら危険で
とても渡れたものではない。だから安全のために人々はルールよりも
現実の状況を見て道を渡るのだ。
世界各地を見ても青信号でないと渡らないという律儀な国の方が少ない。
むしろ殆どの国では車がいなければ赤信号でも人は道を渡る。赤信号でも
わたって良いとは決して言わないが、一部の市民を泣かせて罰金を絞りとる
突然の政策が何の為にあるものか私には残念に思えてならない。
By N.Koyanagi