「百聞は一見に如かず」とよく使われる言葉は、西暦紀元直後に
編まれた、前漢歴史書『漢書』からといい、現代まで伝えられた人
の口に上るのは、この言葉が歴史を超えた真実を含んでいるから
という。
その「百聞は一見に如かず」・・・先日、船橋市で
『縄文の手・現代の手』というコンテンポラリー展に出品している
デザイナーの後輩に案内してもらい、”一見して”7000年前の
縄文土器の美意識に圧倒された。
船橋市飛ノ台史跡公園博物館内での展覧会だから、発掘された
縄文時代の遺跡や出土した遺物も、現在に結び付けるものとの
対比が見られ、それで、より迫力を感じたのかもしれない。
後輩の正法地 健氏は「船橋の縄文メッセージ」と題し、
『約1万年の間、縄文人が生活の中から創作し育んできた縄文
土器。その表面を飾った文様は、縄を初め円棒や竹管など身近
な素材の使用により、多様な文様として手づくりされました。
そこには彼らの感性が見え隠れします。ここに、当博物館所蔵
資料の中から「船橋の縄文」を収集してみました。自由曲線、
幾何学的な線、人や動物のかたち、それらの組み合わせによる
不規則性、非対称形など、様々な表現は何を語っているのでしょ
う。匠の手を持つ縄文人の「思い」「祈り」を想像し、彼らが
発信したメッセージを感じてください。』と記している。
デザイナーから写真家に転じたぐらいの彼の写真技術は、縄文
土器のいろいろな模様を、迫力ある写真で現代に浮かび上がらせ
ている。
現代に通じる模様のルーツが7000年前にあり、それをアレンジして
我々があるということを、ここでは鮮明に教えてくれているようで
どの模様もロマンに満ち溢れていた。と、ここまで書いてきても
より深くは表せない、やはり「百聞は一見に如かず」
都心から30分ぐらいで行ける船橋市、
駅からも近い飛ノ台史跡公園博物館。この展覧会は9月7日まで。
「縄文」と「現代」の対話を、ぜひ貴方の目で味わってほしい。
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(喜多謙一)