ポートフォリオ Ⅰ全般(プロダクトデザイナー転職ガイド2024)

当社の求人はプロダクトデザイナー(自動車や家電等の物理プロダクト)が最も多いので、この連載ではプロダクトデザイナーが転職する際のポイントを掲載していきますが、多くの内容は他のデザイナーにも参考になると思います。

※1年ほど前に掲載した内容を、その間の経験からアップデートしたものです。一気に読みたい方はこちら

今回は、第一の関門となるポートフォリオについてです。4回に分けてお伝え予定です。
1.最も指摘する「説明不足」について 2.ポートフォリオの構成 3.インデックス他 4.初めて作成する方へ

中途採用の場合、ポートフォリオの提出が必須です。逆にポートフォリオ不要の求人は、デザイン以外の仕事が多いと思ったほうがいいです。※現在では、PDF提出が一般的です。ポートフォリオサイトなどのWEBでも可です。

多くのポートフォリオを見ていますが、ほとんどの方は魅力があまり伝わらない「もったいない」状態になっています。よくするアドバイスがあるので順に記載していきます。

「説明不足」

よくある残念なポートフォリオは、これまでにデザインした商品写真だけが掲載され、その製品名、「製品の説明」が書かれていてカタログみたいになってしまっているもの。

弊社のコンサルティングでヒアリングすると、ほとんどの製品には明確なデザイン意図があり、また技術上の制約があったのをデザインを崩さずにクリアしていたりと、デザインスキルの高さを感じさせるエピソードがあります。

こういった内容は、見ただけではわかりません。むしろ、わからないようにデザインしているからこそ価値があることもあります。であれば、文字や説明で補足するべきですが、多くの人はここがなかったり、足りなかったりします。

(当社を通す場合は、そのあたりを補足した「推薦文」をつけるのである程度は伝わりますが、やはり自分の言葉で補足したほうが効果的です。)

転職する以上、今までと別の製品をデザインすることになります。求人担当者は「これらの製品をデザインしたのはわかったが、この人は当社でどのようなデザインができるだろうか」と疑問を持っています。

それに対して例えば、「1つ目のこの商品は、新興国のコンシューマ向け商品。他社が派手なデザインだったため、あえてシンプルにして日本製らしさと高級感を表現した」「この製品は取っ手部分が出っぱってしまうが、その突起部をキーにして特徴的なキャラクターラインを作り、デザインのアクセントとした」

などの説明があれば、うちに入社してもターゲットに合わせたデザインができそう、マイナスポイントもうまく処理できそうだ、と期待してもらえます。もちろん、これらの説明を簡潔に短く読みやすく表現し、美しくレイアウトすることも重要です。(文章で長く説明せず、引き出し線で場所を指定して一言で伝えたり、矢印や記号で文字を減らすこともできます)

その作品に自分が関わってどうよくなったのか、どのような困難なポイントがあり、それを克服したのか。
例えばエンジニアからこういう要求があったが、ユーザーの使い勝手のために当初デザインを守るべきだと説得し、ここの部分がこのようになった、など。ポートフォリオは、製品の良さを説明する資料ではなく、あくまでも自分の良さを説明するものです。その点を強調してみてください。

<次回「ポートフォリオⅡ」につづきます>

(下村航)

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