専門学校 桑沢デザイン研究所にてポートフォリオ作成講座の非常勤講師をしています。
そこで今回は、新卒の方の就職活動のためのポートフォリオ作成のポイントをお伝えしたいと思います。
新卒とはいえ、おおまかなポイントは中途採用の方と変わりません。詳しくは以下をご参照ください。
その上で、新卒ならではの相違点を以下にまとめます。
・「ポートフォリオの出来栄え」=「作品の質」X「説明・レイアウト」
掛け算であることがポイントです。つまり、作品の質がゼロ、もしくはマイナスでは、どんなにポートフォリオのレイアウトや説明をがんばってもダメ、ということです。まずは授業に集中して、素晴らしい作品を作ることに注力してください。すでに卒業している第二新卒の方や、過去の作品に直したい点がある場合は直してから掲載するのも良いかと思います。
・作品の写真撮影も丁寧に!作品の魅力を伝える!
作品の撮影レベルが近年上がっていると感じます。写真がきれいに撮れていると作品もよく見えます。撮影方法についてはピンからキリまでありますが、全然わからない人は、「作品 撮影方法」で検索すると、ハンドメイド作品を作っている人が販売する際に撮影するための基礎が書いてあるので手軽に撮影するのであれば参考になります。
なお、撮影のポイントとしては、「作品が最も良く見える角度から撮る」のですが、その場合は必ず別のカットで「作品全体がわかる写真を撮る」。また、その作品(商品)が使われる時に見る角度からも撮ってください。例えば、テープカッターなのに下から見上げるように撮った写真のみだと、実際に使った際にどのように見えるかがわかりません。その角度がかっこいいならそれはそれで使って、別の写真でテープカッターらしい角度で取りましょう。「写真の不足で作品が伝わらない」というのは学生のポートフォリオに意外とよくあることです。
・掲載順は、自信のあるものから
「ポートフォリオについてⅡ」にも書きましたが、この点は非常に重要です。特に学生の皆さんは成長過程にあるので、同じ方が作った作品でも、作成時期によって出来栄えに大きな差があります。
一つ目の作品で1年生の頃のひどい作品が出てきてしまうと、それしか見ないで落とされる可能性もありますので、くれぐれもご注意ください。
・「授業の課題の内容」も記載する
これは意外かもしれませんが、うまく記載するとプラスポイントになります。
「先生からの課題のテーマが何で、それをどう解釈して、どういう作品に仕上げたのか」
実は、これが知りたい内容です。
先生からの課題内容は、仕事に置き換えるとクライアントからの注文にあたります。クライアントからの注文をどう理解して、どういう考えのプロセスを得て、どのようなデザインにして返すのか。仕事はこれの繰り返しです。
ですから、課題の内容をよく理解して、そのうえでこのように考えてこの作品に至ったのか、それともなんとなくこのデザインなのか、では同じ作品を掲載しても全く評価が異なります。また、課題によっては「このサイズの内部部品を内包する機械」「1820×910の板1枚で作るイス」など 制約条件 があるものもあるでしょう。それを記載しないのは損です。
・プロセスを重視する
これも間違えやすいところですが、特にプロダクトデザイナーの場合、最終的な製品やモデルを自分で手造りすることはありません。そのため、最終的なモデルだけを掲載するのでは、その方のデザイナーとしての実力がわかりません。
必ずプロセス、つまりラフスケッチや、途中段階の複数のデザイン案、模型を使った検証などの制作過程のことを記載しましょう。(とはいえ、モデルの写真も大事です。自分の手で作った経験は、CGだけしかけいけんしていない人とは雲泥の差だからです。)
また、最終的なCGレンダリングは見栄えがいいですが、審査する側はそれを職業にしているため、最近では簡単に質感が表現できることを知っています。
だから絵の美しさではなく、デザイン形状がきれいなのか、きちんと形状を理解してデザインしているか、安易に「3Dにしやすい形」に逃げていないか、などを見ています。
<来週は
新卒・学生のポートフォリオ ポイントⅡです>
(下村航)
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