求人企業のデザイナー数に注目する デザイナー転職ガイド2024

転職活動をする中で意外と見落とされがちなポイントがあります。それは「その企業にデザイナーが何人いるのか」という点です。この情報は職場環境やキャリア形成に大きな影響を与えるため、ぜひ注目してほしいポイントです。

弊社はメーカーのプロダクトデザイナーやグラフィックデザイナーの転職支援を得意としており、日本を代表するような大企業とも取引があります。また、多くの転職希望者と話をする中で、弊社と取引のない企業についても、デザイン部門の実態を知る機会が少なくありません。

その中で驚かされるのは、メーカーの中でもデザイナーが全くいない企業も少なくないということです。特にBtoB向けの企業では「消費者向けではないため見た目にこだわる必要がない」「必要な時は外部のデザイン事務所に依頼する」という考え方が多いようです。
(※BtoB商品でもデザイナーが関与することで大きな成果を上げている企業もあり、非常にもったいないと感じます!)

ここでは、求人企業のデザイナーの人数に注目し、それぞれの良い点と課題について詳しく解説します。

1)デザイナーが少数の大企業

1つ目は「大企業だがデザイナーが少数」というケースです。社員が数万人いるような大企業でも、デザイナーが10人以下という会社もあります。こうした環境では、一つのプロジェクトでエンジニアが10数人いるのに、デザイナーは1人ということもあります。

デザイナーが少数派だと、自分の意見を通すのが難しい場合が多々あります。一方で大規模なプロジェクトに携わる機会が多く得られるのは大きな魅力です。例えば、都市の交通インフラ整備や数十万人が使う機械の設計に関われることもあります。また、プロジェクト内でデザイン業務を一手に担うことで、短期間で成長することが期待できます。

転職の観点からもう一点、インハウスデザイナーの求人募集では、インハウス経験者が歓迎されます。これまでの経験で、社内のデザイナーではない人々、デザインを理解できない人たちの説得に慣れているからです。

 2)デザイナーが1人しかいない企業

スタートアップ企業や中小企業では、社内にデザイナーが1人しかいないという求人も少なくありません。弊社の求人でも、「1人しかいないデザイナーが退職してしまったので、代わりのデザイナーがほしい」というご相談はよくあります。場合によっては、「これまで外部に委託していたが、社内に初めてのデザイナーを迎えたい」という企業もあります。

このような環境では、先輩や同僚デザイナーがいないため、社内でデザインを学ぶ機会が少ないという課題があります。それでもうまく成長している人は、Webやオンラインなどで独学したり、社外の知り合いに教わったりしているようです。

一方で、一人で業務全体を回す必要がある分、業務設計やプロジェクトの進行管理など、デザインの周辺スキルが自然と磨かれることが多いです。

なお、こちらも1つ目と同様に社内でデザインを理解しない人を説得するのが大変な場合も多いですが、一方で経営陣がデザインの重要性を理解している場合、広義のデザイナーとしての意見が尊重され、社内で責任ある立場になれることもあります。

転職の観点でいえば、デザインについては身近に学ぶことができませんが、業務全般の回し方、デザイン業務の設計などは自分ひとりで切り開いていくので、転職したとしても新天地でも柔軟に活躍できる人が多い印象です。

3)デザイナーが多数いる大企業

デザイナーの数が多い環境、例えば消費者向けの商品を扱う企業や自動車メーカーなどでは、数百人規模のデザインチームが組織されていることがあります。こうした企業では、デザインの意見が通りやすく、上司や同僚から学ぶ機会も多いのが特徴です。デザイナー同士で切磋琢磨できるため、技術的なスキルだけでなく、デザイントレンドにも敏感で、感性やアイデアの幅も広がりやすいです。デザイナーとしてのスキルアップもしやすいように感じます。

一方で、人数が多い分、自分の番が回ってきにくいということがあると思います。社内コンペで勝ち残らなければ自分のデザインが何年も製品化されないことがあったり、希望しない製品の担当になることもあります。また、大企業であるがゆえに、社内調整の仕事に忙殺されているという話もよく聞きます。

4)デザイン会社やデザイン事務所の場合

インハウスデザイナーと単純に比較するのは難しいですが、デザイン会社、デザイン事務所の場合も社内に多数のデザイナーがいて、上記の良い点も感じられると思います。インハウスデザイナーと違う点としては、クライアントが広ければ多様な業種のデザインに関わることができます。短期間で多くのデザイン実務経験を積めるのも、デザインスキルを習得する点では良い環境といえます。

ただし、デザインを納品して終わり、ということが多いことです。もともと製品化を予定しない、刺激のためのアイデアだしを求められることもあります。デザイン完成後の量産のための調整や販促デザインへの指示など、「ものづくりの全体像に携わりたい」という人には物足りなさを感じることもあるでしょう。

自分に合った環境を見極める

どの環境が良いかは一概には言えませんが、それぞれの特徴を理解したうえで、自分のキャリア目標や価値観に合った企業を選ぶことが重要です。
できれば他の環境も一度経験してみるとどこが合っているかがわかるのですが、転職を繰り返すわけにもいかないので、、、

例えば、3,4に該当する人は、社内で1人のプロジェクトが発生したら積極的に手を挙げてみると1人デザイナーへの適性がわかるでしょう。 1,2に該当する人は、社外でデザイン講座やグループワークを経験すると多デザイナー環境と似たような経験ができるかもしれません。デザイナーとしての可能性を最大限に引き出すために、環境選びも転職の検討要因の一つとして考えてみてください。

PAGE TOP