この連載では主にプロダクトデザイナー向けの転職ポイントを掲載していますが、他デザイナーにも参考になると思います。今回はポートフォリオの最終回である4回目です。
初めてポートフォリオを作る方へ何をしたらいいかのアドバイスで、桑沢での講義内容をベースにしています。
※過去に掲載した内容を、その間の経験からアップデートしたものです。一気に読みたい方はこちら。
- 1.これまでの作品のリストアップ
- 2.分類と評価から掲載順・量を決める
- 3.ポートフォリオの構成「台割」を作る
- 4.作成開始! ラフを書いてから/参考にするページ
- 補足1:プロフィールページは必要か?
- 補足2:ポートフォリオの適切なページ数は?
1.これまでの作品のリストアップ
初めてポートフォリオを作成する際は、まず初めにこれまで自分が手掛けてきた作品(製品、デザイン仕事)をリストアップすると良いです。
上図のように簡単で構いません。転職経験のある人は、会社ごとに書くとよいです。人によっては膨大な量になるかと思いますが、その場合はポートフォリオに掲載する可能性があるものに絞りましょう。あくまでもポートフォリオを作成するための準備ですので。手書きでもパソコンでの作成でも構いませんが、データで残しておいた方が今後再作成するときに楽です。
2.分類と評価から掲載順・量を決める
書き出せたら、次はポートフォリオの構成のために分類と選別をします。上の表の中でも「自己評価」として◎や△で表現していますが、それも参考にしながら、ポートフォリオの掲載順番、掲載量を考えます。
掲載順については、本ブログの「ポートフォリオⅡ構成」で示したように、自信のある順に掲載します。また、最初の方の自信のある作品は数ページを使って詳しく、後半の自信があまりない作品、専門ではない作品は1ページに数点載せるなど、サクサク見られるようにします。前の表はプロダクトデザイナーの例ですので、GDのパンフやパッケージは後ろの方になります。それらの作品で「専門ではありませんがこんなこともできますよ」と、自分の幅を見せるイメージです。
3.ポートフォリオの構成「台割」を作る
掲載作品と順番が決まったら、簡単な「台割」を作成することをおすすめしています。台割というのは、何ページに何を載せるのか、という図です。例えば以下のように四角を並べて、各何ページにするか、という構成を作ります。簡単でいいですし手書きでいいのですが、こうしておくと全体像がわかり、どこを厚くするか、薄くするかが見えてきます。
4.作成開始! ラフを書いてから/参考にするページ
ではいよいよ作成していきましょう。とはいえ、いきなりIllustratorを開くよりも、まずはラフを書いてみましょう。汚くて恐縮ですが、、、以下図のような、簡単な手書きです。こうしてレイアウトを大雑把に検討してから作成した方が、圧倒的に早くできます。
なお、ポートフォリオデザインの参考として、Adobeがやっているポートフォリオ投稿サイト「Behance」があります。ここで、「Product Design Portfolio」と検索すると、世界のデザイナー(学生も多いですが)のポートフォリオが見られます。この中で「いいね」が多いものを見ると参考になります。
※載っているものは皆さんグラフィックデザインスキルが高いのですが、ここまでこだわる必要はありません。あくまでも自分のスキルが伝わればよいので。レイアウトのパーツや構成を参考にしてもらえればと思います。
とはいえ、今の会社で社内でプレゼンする資料はきれいに作成していると思いますのでそのレベルにはしてほしいです。
過去に、ポートフォリオに掲載されているプレゼン資料はとてもレイアウトがきれいなのに、ポートフォリオ自体のレイアウトはいかにも「PowerPointで適当に作ってきた」感じの人がいました。いくらグラフィックデザイナー求人ではないからといって、デザイン部として他部門や経営層、クライアントにプレゼンを作成する機会はあります。
「この人は転職の勝負場面で、この程度のレイアウトデザインしか作れない人なんだな」と思われてしまうかもしれません。
苦手な人も、自己ベストレベルのレイアウトデザインを目指しましょう。
補足1:プロフィールページは必要か?
学生のポートフォリオではプロフィールページを作成することをお勧めしています。そこでは、出身地や高校、大学名、使えるソフト、趣味、笑顔の写真などを掲載しています。ここの写真は友達と遊んでいる時に撮影したラフなものとか、学生時代に打ち込んだスポーツをしている時の写真などです。
学生には「企業は『後輩』を探している。プロフィールページで趣味とかスポーツとかがわかると、後輩として親近感がわく」ので掲載した方がいい、とお勧めしています。
中途採用の場合は無くて構いません。20代後半ぐらいからは、プロフィールページに時間を割くなら、内容を充実させることをお勧めしています。多くの場合、面接官は後輩、同僚を探しているので人となりが分かった方がいいのですが、このぐらいの実務経験を過ごすとデザインスキルで差がついているので、人となりが分からなくても書類は通るからです。人柄は面接で十分に判断できます。
逆に20代半ば以下、まだ実務経験が数年であれば、学生と同様に人柄をアピールするのも有効な可能性があるので掲載して損は無いかと思います。
補足2:ポートフォリオの適切なページ数は?
これは人それぞれで、ダイジェスト的な載せ方で10ページ以下でまとめてしまう方もいれば、細かいものまで載せて100ページを超える人もいます。
現在はほとんどがPDF提出ですので、マウスのホイールスクロールで簡単にページをめくれるので、ページ数が多くても昔よりはみてくれやすいです。
ただ、やはり多すぎると疲れるし飽きてしまって最後まで見てくれないので、20-40ページぐらいが見やすいのではないかと思います。実際、これぐらいのページ数の方がとても多いです。
<次回は「職務経歴書Ⅰ」です>
(下村航)
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