今回は、作品集にコンペ作品を掲載することについて書きたいと思います。
デザインコンペ提出作品に代表されるような「仕事以外での作品」について、掲載していいのか、という質問が時々あります。その答えは、
良い作品であれば掲載した方がいい、と答えています。
左側が作品集の1ページ目、右側が最終ページを示します。タテ軸は、載せた作品に対する説明の深さを示します。
この中で、「自分の能力の幅を見せる」という後半ページにコンペ作品はピッタリです。近年デザイナーの業務はますます多様化していることもあり、特にメーカーのデザイナーは、
ある特定の製品しかデザインしていないかと思います。
その場合に、仕事で携わった作品だけを作品集に載せていると相手企業から、この人はこれしかデザインできないのではないか、と考えられてしまうことがあります。
以下は、実際に企業の方に言われたことのある言葉です。
「この方は大きい製品ばかりデザインしているが、当社は手に収まるような製品ばかりなので、この方ではデザインできないのでは?」
逆に、「小さい製品ばかりだが、当社製品のような大きい製品のデザイン経験はないのですか?」また、他の切り口では、「この方はBtoBの製品しかデザインしたことがないようですが、当社は消費者向けの製品がメインなのでそうした製品の経験はありませんか?」
他には玩具メーカーから、「当社は楽しい雰囲気のデザインができないと厳しいのですが、そうしたデザインの経験はありますか」
こうした際に、デザインコンペに自主的に出した作品で、そうした本業では見られない「デザインの幅」をPRして内定した方もいらっしゃいます。
(入賞していなくても構いません)
但し、その作品の出来を冷静に見極めて、掲載場所を判断してください。
というのは、コンペの作品は基本的には片手間で作成することが多いので、本業のデザインよりも粗の目立つレベルの低いデザインになりがちです。
そうしたものであれば、たとえ入賞していても前述のように作品集の後半に簡単に概要だけを掲載することをお勧めします。
目的はデザインの幅を見せられればいいので、そこで細かいところを指摘されるほど詳しく見せてしまうと、損をしてしまう場合があるからです。
もちろん、細部まで徹底してこだわってデザインしたのであれば、前の方に掲載しても問題ありません。むしろ受ける企業の方向性に近いのであれば積極的にPRすべきです。