「日々、色について考えているデザイナーや芸術家の世界では、
学校で学んだ「マンセル色彩体系」が、何の用もなさないことが分かり、
この業界に、ちょっとした異変が起こっている」という話を、
色彩研究家のM氏から聞いた。
具体的に色の波長などを科学的に調べれば調べるほど、
「マンセル色彩体系」が、色の世界を説明しやすくしている、
単なる教材に過ぎないということがわかり、
そこには、何の科学的根拠も見出せなかった、という。
学問の世界も、様々な試行錯誤を繰り返しながら進歩して行くとしたら、
アナログの世界で学んだ、あのマジメな「マンセル色彩体系」も、
教材としては抜群の出来であったように思う。
これに代わるものがデジタルの中でも発見され、
色彩研究に寄与できれば、これが進歩というものだろう。
ここしばらくは、アナログ社会も捨てがたく、デジタル社会も面白いという、
あいまいさ、柔軟さが求められるのではないかと、私は思っている。
(K.K.)