スペイン在住40年近い日本人画家の個展を新宿で見て、
その後、彼と軽く飲んだ。
そのときに彼から、日本には今でも、芸術には「自由がないのではないか」
という意外な言葉を聞いた。
日展や院展という組織の中での芸術は、芸術家の個性を殺さないと
入選すら出来ない、と彼は言う。
先生の教えに従わないといけない、いわゆる流派に属さないと
芸術作品として認めてもらえない、そんな小さな世界が嫌で、
スペインにいるのだと言う。
スペインは、ピカソをはじめ、いろいろな芸術家を生んだだけに、
芸術に関する自由度がすばらしいとも、彼は付け加えていた。
外から見た日本は、芸術家も政治家も皆、派閥で動いるように見え、
全く自由がない、一人歩きすらできない国と映っているらしい。
半分本当だろうが、半分はそうではないよと言おうとしたが、
すぐに反発する言葉が見つからず、そのまま別れた。
後日、デザインの世界でも、自由がない、個性すら出せない、
どんぐりの背比べ的な商品づくりを続けていると、
やがて世界から見放されるし、彼の指摘を謙虚に受け止めるべきと思った。
そして、「グローバル」という言葉を、
もう一度よく噛みしめてみたいとも考えている。
(K.K.)
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