定年を待たずに会社をやめ、地方の伝統工芸振興に携わる人や、
大学の先生に鞍替えする友人が増えている。
いいことだと思う。
先日も、地方の伝統工芸品の新製品発表会に招かれて、
彼らの仕事振りを見させてもらった。
会社で培ったノウハウを応用できる点では、経験が活かせるようだが、
実際のところ、伝統工芸品を家電製品のように、
そのまま日常に使用する家庭は、そうそう見当たらない。
そのため、「100年後までも使える」という高邁な思想の商品開発だけに、
そのコストは、一桁違っているのには驚いた。
単純に、誰が買うのだろうと首を傾げたのは、私だけではあるまい。
技術のPRだと割り切って見てもらうにも、遊びが多いように思った。
確かに、伝統工芸や民芸品と称されるものは、
以前は日常的に使われた用具であったし、生活の必需品であった。
しかし、今、伝統工芸品というものの価値を、アートにまで引き上げ、
コストアップしていては、日常から遠ざかること間違いない。
100円ショップをとやかく言う前に、伝統工芸品でも、
日常生活に密着した新商品でないと見向きもされないことだけは確かだ。
伝統工芸振興に携わる人の奮起が試される、そんな時代に入っている。
(K.K.)
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