「先用後利」

昨日の夕刊トップ記事は、
『GDPマイナス12.7%』 『輸出落ち込み最悪』 『輸出頼み反動深刻』…etc.
こんな記事を見るたびに、ふと私の心に浮かぶ「商法」がある。
300年の歴史を持つ、『富山の薬売り』である。
少し長くなるが、以下に、その簡単な歴史を参照してみた。

『薬売りは元々は現金商いであった。
当時では、現代のように交通網が管理されておらず、
当然見知らぬ遠国では、代金の回収困難だからであるのだが、
当時の庶民にとっては、いつ、どのような薬を使う事になるか
分からない状態で、数多くある種類の薬を買い、
常備しておくことは、経済的に不可能に近かった。
…が、しかし、幾度と通う事により、薬売りと顧客の間に
信頼関係が生まれていくのだった。
そこで、売薬りは思ったのである。
「1回だけの取引ではなく、幾度と訪問するのだ。
 とりあえずいくつかの薬を渡して、次に来たときに
 代金を受け取っても遅くはない」
これが「先用後利」の元になるのである。
この考えは、継続的な取引をする薬売りにとっては、
非常に理想的商法であり、薬売りには
永続的な商いを保証することになる。
(中略)
先用後利という制度は、売薬りと顧客との長い付き合いと
信用があって初めてできる事。
(中略)
販売網は不動のものとなり、
その後も取引が絶えることはなかったのである。
「後利」とは、その時だけでなく、
未来における利益も意味していたのかもしれない。
今なお、この商法は続いている。』
(Webサイト「富山の薬の歴史」より抜粋)

デザインに置き換えて考えるなら、
デザイナーとユーザーの長い付き合いと信用を作ること。
それは、先行投資、先行デザインをどれだけ溜め込めるかということになる。
マイナス面の解説は、評論家に任せておき、
デザイナーは常に一歩、いや半歩でも先を歩きたい。
先行デザインに取り組むこと、そこ気概こそが、本当のデザイナーだろう。
不況風を吹き飛ばすのも、デザイナーだ。
(K.K.)
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