久しぶりに晴れると、誰となく「動物園にでも行こう」と思うらしく、
この日曜日の上野動物園は、朝から賑わっていた。
120年以上の伝統を持つ東京の動物園だけあり、
迷子対策として、入り口近くで幼児に名札をつけるサービスもあり、
園内の地図も配られ、トイレの数も多く、散策しやすくなっている。
ところが、「象さんを見たい、キリンさんを見たい、お猿さんを見たい」
という幼児達には、地図を見ることが出来ず、
さりとて、親が見ても標識もまばらで、場所が探しにくい。
1980-1990年代に、米国のロナルド・メイスによって、
バリアフリーのデザインの概念をさらに広げる意味で、
ユニバーサルデザインの必要性が提唱され、定着が進んでいるが、
この動物園で見る限り、今ひとつ浸透していないように思えた。
例えば、迷子対策として幼児につける名札も、
ピンも、マジックテープもないので、ポケットに入れるか、
靴の中にでも挟んでください、という程度で、
もう少し何か、アイデアが足りない気がした。
最近の病院に見られる例を挙げれば、入院患者へのお見舞いは、
外科であればブルーの線をたどって歩けば、簡単に外科病棟に着くなど、
色を使った案内が工夫されていたりする。
「キリンを見たい」という幼児には、黄色の線や、黄色の標識で
探し当てることが出来る工夫などあれば、探す楽しみも倍加するだろう。
伝統ある動物園だけに、その伝統が、逆にユニバーサルデザインを始め
様々な工夫を妨げているのだとしたら、人気、集客という点で、
北海道・旭山動物園などに負けるのは当然である。
(K.K.)
デザイナー転職紹介、人材紹介、求人募集のビートップツー