先週末、ヤボ用で千葉県の海岸に面したK市に行っていた。
穏やかな海を見ながら、どうしても3月11日のあの大津波に繋がらない。
テレビで見て愕然とした、あの海ではないのである。
そして原発事故。この海にも放射性物質が流れているかもしれない。
とても、汚染されている海だとは信じられない穏やかさだった。
ふと、昔のことを思い出した。
大学で初めての夏休み、宿題はA3サイズのスケッチ15枚。
課題を消化するには、山でも行って描くしかないと、立山連峰に向かった。
先ず、富山県の宇奈月に入り、黒部渓谷に行こうと食堂に入った。
そこで偶然、黒部ダム工事現場に向かうT氏と会い、幸運にも同行を許された。
貧乏画学生の特権、その親切に感動して付いていった。
黒部川第四発電所、通称「くろよん」、あるいは略称「黒四発電所」。
富山県黒部市の黒部川上流部にある関西電力の水力発電所だ。
黒部ダムから水を引いて発電している。
1961年、発電開始。
当時、既に環境保護のため及び厳冬期の雪崩対策として、
この発電施設及び輸送ルートや送水管は、すべて地下に作られている。
完成は、1963年。
1964年、東京オリンピック以後は、能率、効率の悪い水力発電などの
自然エネルギー発電を先送りし、好むと好まざるとにかかわらず、
原子力発電を受け入れ、国はその建設に舵を取った。
私たちは、その電力に依存する生活を始めた。
現在、発電割合は、原子力29%、LNG29%、石炭25%,一般水力は7%である。
能率、効率を求め続けた成長路線は、広島・長崎の教訓をも忘れさせたのか。
今度の不幸な災害が、皮肉にも、被曝の危険性を教えてくれた。
私も、このことがなければ、学生スケッチ旅行も、水力発電も忘れていた。
これからの日本は、容易ならざる事態が続くだろう。
能率、効率を求め続けた産業界も転換を迫られるかもしれない。
デザイナーは何が出来るか、新しい生き方がないものか、
今こそ、デザインの力を発揮し、人生を「モデルチェンジ」するような
提案のできるデザイナーの出番があると信じたい。
そして、それに応えられなければ、デザイナー失格である。
(K.K.)
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