コーポレートカラーの呪縛

空間設計の業務のひとつに、展示会ブースデザインがある。
経済発展の著しい市場を求めて
日系企業が販路開拓に臨む中国の展示会では、
年々日本からの参加企業が増加している。
短期勝負の展示会ブース設計で肝要な事は、
お客様の目に止まり、より多くの企業情報を
短時間に発信できる事。
勿論、高品質、センスも多いに問われる所である。
先月、上海の金属機械関係の展示会で日系ブースを訪れたが、
工業系のコーポレートカラーは、殆どが青色系。
主催のメインカラーが青の為、青を基調としたブースは
どちらかというと大海の中の魚のように目立たない印象になる。
日本からはるばる訪れたコーポレート戦士たちに話を聞くと、
“我が社のコーポレートカラーだから”の一点張り。
一般的に、赤や黄色を好む中国市場のテイストもふまえて考えると
かけられた呪縛から逃れられない発想の限界を感じざるを得ない。
中国に進出して10年の、あるイノベーティブな総経理は、
数年前、オレンジ色のブースカラーを断行した。
以来、中国でのコーポレートカラーはこの色になり、
一瞬の集客が勝負の展示会で、積極的な戦略を打ち出し続けている。
柔軟性とこだわりのバランスが不可欠である時代の変革期、
戦士たちの中から、環境を読み取り、思い切った一歩を踏み出す
心意気を期待するのは私だけであろうか。

写真は、スニーカーを履いた?ちょっと偽物っぽい
サックスの演奏者を招いたブース。
写真は本文とは関係ありません。
(N. Koyanagi in 上海)
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