試金石(しきんせき)


(21Thエメラルド会展・出品作品)

私の好きな漢字のひとつ試金石
「価値・力量などを判定する材料となる物事」と辞書にあるが、
私は、軽い意味の“何でも試みてみよう”と考えるようにしている。

縁あって私は、土日、勝浦市(千葉県)の海岸で、
農作業とツリーハウス(茶室)等の “日曜大工”入門をすることになった。
あの3.11東日本大震災の2か月前からで、今年で13年目に入る。


4,50年使用してない土地、荒れ地であるが、
以前会社の保養場として使っていた跡があり、井戸や電柱があったが、
住むとなると新たに電気、水道、ガスを引かなければならない。
月に2,3度行くぐらいだと基本料金を払うのが経済的でなく、
思い切って電気、水道、ガスのない “サバイバル生活” ができないかと考えた。

電気は発電機、水道はタンクで持ち込み、ガスはなくとも、
雑木を伐採すれば薪が出来るから不自由しない。
まあ、やれるだけやってみようとスタートしたが、土地入手、2カ月後に、
あの東日本大震災に見舞われたが、何の被害もなく胸をなでおろしたのを、
昨日のように覚えている。

 “サバイバル生活”・・・思うに、前世紀までの科学や科学技術の時代は終わり、
人間中心の時代も終わり、地球上に存在する多種多様な生き物と
共にあることを忘れないで生きる時代になったと思い、
勝浦で、荒れ地を開墾して野菜畑にし、ジャガイモやサツマイモを植え、
身近なところにある野草を摘み、サラダや、てんぷらにし、
何でも頂くようになった。

 “試金石” さらに、月に1、2度、
友人も加わり野外生活をも楽しむまでになった。

ところが残念なことに、この3日、東日本大震災以後に反原発のデモ
にも参加されていた、ノーベル文学受賞作家の大江健三郎さんの死去に接し、
何とも言えない“残念な淋しい国”になった(合掌) が、彼の遺志を受け継ぎ、
反原発・・・、原発は我々の世代に終わりにしなければならない責務と思っている。


 東京新聞 2023年3月22日

(喜多謙一)
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