年の瀬になると、ふるさとを思い出す。
郷里、金沢が生んだ、室生犀星の詩を口ずさむ。
ふるさとは遠きありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆうぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠き都にかへらばや
遠き都にかへらばや
(小景異情その二より)
期せずして、ふるさとを、20年単位で金沢、名古屋、鎌倉と3つ
持つことになったから、今年は名古屋大学のノーベル賞受賞も
嬉しかったし、来春3月に、新幹線が金沢まで開通・・・
いろんなイベントが用意されているので、何かと嬉しく、
忙しく感じられる、ふるさと思いの年の瀬になった。
あの名古屋大学人気質を、3J (自由、地道、地元愛)旋風 と、
自由な学風、風通し良く、地道な研究、実用化向き、
地元愛 盛んな産学連携と讃えた、マスコミ(日本経済新聞)も
良く取材していると感心したし、あのナンセンスな選挙がなければ、
まだ楽しい嬉しいニュースも沢山報じられたと思うと、
なおさら、あの選挙には腹が立った。
自由な学風、風通し良くのあたりで、私も名古屋在住の時、
非常勤講師として名古屋大学に10年余り通ったことなどを
思い出したりして、しばし感傷に耽った。
2014年3月、恩師・故・柳先生の手掛けたデザイン図など
資料7千点を委託された金沢美大が、金沢市尾張町に
「柳宗理記念研究所」を開設、そのオープン、お祝いに
馳せ参じた「BIBI会」のメンバーの一人として、
2015年には「開館一周年と柳宗理生誕100年プレイベント」を
関係者と企画立案していると、
そう、春が待ちどおしく思えるから不思議だ。
ただ、東北をふるさとに持っている人のことを考えると、
のんきなことも言えない。あの大震災、大津波、原発事故の後、
3年半過ぎても解決していない。
一人一人にできることは少なくとも、明日のために、
デザイナーであればデザイン力で、何かしなければと思う。
東北にも春が、皆で迎えられる日を念じてやまない。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
明年も引き続き、よろしくお願いします。
(喜多謙一)