6月29日から台湾の国立デザインミュージアム(台湾 設計館)で、
「柳宗理 回顧展」がオープンニングパーティと共に始まった。
期せずしてオープンその日が柳宗理の誕生日と重なり、
意義ある日に参加できて、愚弟として何よりも嬉しかった。
師の仕事場がパンフレットになっているのも面白い趣向だと
感心しながら、半世紀前の若き師のハツラツとした集中講義ぶりを
しばし思い出していた。(写真参照)
聞くところによると、この国立デザインミユージアムは、
もとタバコ工場の建物をギャラリーやレストランにリノベーションし、
解放している。
台湾設計館では国内外の工業デザインに関する展示を
行っており、その一環で師が招聘された。
会期2か月間だから力が入っている。
メイドインジャパンの本物に接する機会を作るなど、
「台北市のクリエイテイブ基地」としてこの場所が活躍している。
回顧展の展示内容は、ところどころで映像を流したり、
製品が出来上がるまでの工程について、本物の素材を並べて
解説を試みたりと、日本側の展示、見せ方の工夫がなされていた。
師の今でも使われている四谷の仕事場までは再現していないが、
モノづくりの真摯な取り組み、職場風景が再現されていたように
感じた。
これで、4月シンガポール、5月香港、6月台北での回顧展は、
主要アジア諸国で開催されたことになる。
5月に金沢で「柳宗理生誕100年記念講演会」を、
川崎和男氏を招聘して開催した我々実行委員会としては、
これを機会にアジア諸国はもとより、全世界でのデザイン交流が
盛んになることを期待したい。
PS.タバコ産業跡地のうまい再開発に脱帽。
(喜多謙一)