ポートランド、ゴールデンナイヤ、ゴールドシャイン、コトピー、オリンピア、クイーンセブン
とカタカナが並んだ”果物“を頂いた。
何の名前か、ご存知でしたらスゴイ知識人?
最近の葡萄の名前で、信州は塩尻の知人から上記の名前のぶどうが送られてきた。
夏にお会いした時に60年以上前、実家(北陸)も大きなブドウ園でしたが、
男兄弟4人、私も、誰も後継者になるものがなく、すべて宅地になったことを思い出して、
つい、“今はブドウ栽培の世界どうなっている”のかと知人に話したところ、
それを覚えていて、いろいろな種類の葡萄を送ってくれたのだ。
当時は、甘い小さな粒のデラーウエアがほとんどで、8月下旬から9月の中旬までが
1年の収穫期、“猫の手も借りたい時期”で、高校1年の時にオート三輪の免許を取り、
大都市の市場に運ぶのも大きな家の仕事でしたから、
高校の中間テスト時期と重なったが、勉強どころでなかった。
年1回のブドウ収穫時期は、台風が来ると収穫ゼロ、雨が続くと収穫できず不作と・・・
収入のない年になり、“自然との戦い”はいつも厳しいものでしたから、
子供心に、後継者には絶対になりたくないと思った。
8月のエメラルド展に出品した私の木彫作品「晴好雨奇」(せいこううき)
晴れもいい、雨の景色もいいという目でブドウ園を、自然を見たことがなかったが、
お米、サツマイモ、じゃがいも、野菜類はすべて作っていたから、
終戦後の食糧難、我が家では経験しなくてすんだ。
大学受験の時は、ブドウ園の事もありか農学部も考えたが、
デザインの魅力にはまり、自宅から通える学校を選んだ。
就職は、タイプライタのデザインを希望、日本のメーカー、
名古屋・ブラザー工業に入ったが、1990年代を過ぎると
PCに置き換わりタイプライタも”死語“になっていった。
頂いた葡萄には、一粒食べてもうまい、
ポートランドという、甘党には好まれる品種もあり、
60年前には考えられなかった、品種改良、温室栽培、バイオ研究が
今日のブドウ栽培を支えていることに“頭“を下げたいが、
負け惜しみでなく‟職業の選択は、奥が深い“ことを私は学んだから、
後悔はないが、ふと、ブドウ栽培していたらと思うこともある。
今は、「晴好雨奇」
晴れもいい、雨の景色もいい“境地に達している”から、
やはりハッピイな部類にいるのだろう。(喜多謙一)